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VOC Free?
2010/07/06以下、季刊「木の繊維」創刊号 2009 年10 月31 日より抜粋、加筆
VOC free
木質繊維断熱材は、天然素材の「木」をそのまま物理的方法で繊維にして製造するので、ホルムアルデヒドやVOC の発生量が極めて少なく、シックハウス対策に最適であり、住まう人にも安心です。
苫小牧工場で製造された木質繊維断熱材のホルムアルデヒドとVOC の公的試験研究機関における放散速度の計測結果では、ホルムアルデヒド放散速度2.0 μg/(m2・h)、VOC 放散速度:トルエン0.2 μg/(m2・h)以下、キシレン0.6 μg/(m2・h)以下、スチレン0.3 μg/(m2・h)以下、エチルベンゼン0.3 μg/(m2・h)以下、p-ジクロロベンゼン0.3μg/(m2・h)以下、という成績が認められました。
F☆☆☆☆に十分該当する結果です。
木は有機物であり、特別な芳香物質を含んでいるため、VOC 測定ではゼロを示すことはなく、一方VOC が有害物か否か、人為的に作られた有害化学物質かどうかの識別も簡単ではありません。
しかしながら、木質繊維断熱材は、天然の木を原料としていますので、安心して使えます。
逆に注目したいのは、木の有害物吸着能力です。
これは木の「多孔性」に基づく、木の優れた特質です。
木は、膨大な比表面積をもち、空気中に含まれる微量ではあるが有害なVOC を容易に吸着でき、この特性は、消臭効果ももたらします。
以上紹介しました「木」であることによる、即ち「細孔構造」に由来する特質としての「調湿機能」や「有害物吸収能力」等は、現状の住宅建築技術上の制約のために十分その機能を活用出来ませんが、今後、木質繊維断熱材の「通気性」を本格的に活用した建築技術の確立によってその真価を発揮するものと考えられます。
調湿機能のヒミツ
2010/06/24以下、季刊「木の繊維」創刊号 2009 年10 月31 日より抜粋、加筆
調湿機能
木質繊維断熱材の水蒸気吸収量は17%、鉱物質繊維断熱材では2%であることが報告されています。
これは、繊維の間や細孔に水蒸気が取り込まれた結果であり、保湿性としての水蒸気吸収量の違いは、主として細孔W容積の差であると言えます (繊維間のものは大差は無いと考えられます)。
木の繊維独特の大きな水蒸気吸収効果は、優れた調湿機能を示します。
例えば、木質繊維断熱材 を20m³ 使用した住宅の場合、断熱材に136 L の水蒸気量を吸収できます。
この量は、ある条件で1人が生活するの1日当りの水蒸気発生量(10 L)の10 倍以上、即ち10 日間分に相当します。
一方鉱物質繊維の断熱材(密度24 kg/m³)では、同じ20 m³ を使用したとして、9.6 L の水蒸気量、即ち1日分しか吸収できないことになりま す。
結露しにくいヒミツ
2010/06/22以下、季刊「木の繊維」創刊号 2009 年10 月31 日より抜粋、加筆
細孔に取り込まれた水蒸気
細孔Wに取り込まれた水蒸気 一方水分子は、気体では単分子、液体では5分子が水素結合W構造を取ります。
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[水分子の水素結合] |
気体の水分子(水蒸気)の直径(約3Å)と下の「細孔構造の模式図」に示す細孔の大きさを比べると、ウルトラミクロ孔には分子は1個入る程度、スーパ ーミクロ孔には1~6 個入る程度、メソ孔には6 ~170 個程度、マクロ孔には170 個以上入ります。
ミクロ孔>メソ孔>スーパーミクロ孔)
![]() |
[細孔構造の模式図] |
一方液体の水は、水素結合構造を取るため、最低 でもマクロ孔程度の大きさが必要となります。
液体の水が確認できる場合の水分子は1,000 個程度が集合する必要があるとも言われており、マクロ 孔程度でも液体となるのは難しいと考えられます。
断熱性能のヒミツ
2010/06/21以下、季刊「木の繊維」創刊号 2009 年10 月31 日より抜粋
細孔に入った空気の分子の状態
細孔Wに入り込んだ空気の分子は、速やかに周辺の細孔を構成する物質と熱平衡状態になって、細孔内に留まり続けます。
この状態では、細孔内の 分子が対流W現象に寄与するとは考え難く、もっぱら、熱的に伝導と輻射に寄与することになります。
こうした熱の伝達状況の詳しいことは、本連載の中で説明したいと考えております。
重要なことは、こうした細孔に取り込まれた空気の分子(水蒸気も含めて)は、“動かない”、即ち対流を起こす物質にならない、ということです。
熱の伝達で、最もエネルギー移動が大きいのは対流ですから、対流が無いということは、断熱材の中に取り込まれた空気が熱移動を起こさない、即ち断熱性が向上することになります。
定量的には、全細孔中の空気量と繊維間に存在する空気量の検討が必要になります。
繊維間に存在する空気量は、その他の断熱材と同程度と考えられますが、細孔のような構造を持つのは「木」だけに見られる独特のものです。
先にみたように、細孔容積は木繊維の10%を閉めることから、細孔に取り込まれた空気の役割は無視できず、木質繊維断熱材特有の特性もたらします。
各種断熱材の熱伝導率
2010/06/19
断熱材区分 | 断熱材の種類 | 熱伝導率[W/m²K] |
A-1 λ=0.052~0.051 |
吹込み用グラスウール(施工密度13K、18K) | 0.052 |
タタミボード(15mm) | 0.052 | |
A級インシュレーションボード(9mm) | 0.051 | |
シージングボード(9mm) | 0.051 | |
A-2 λ=0.050~0.046 |
住宅用グラスウール断熱材 10K相当 | 0.050 |
吹込み用ロックウール断熱材 25K | 0.047 | |
B λ=0.045~0.041 |
住宅用グラスウール断熱材 16K相当 | 0.045 |
住宅用グラスウール断熱材 20K相当 | 0.042 | |
A種ビーズ法ポリスチレンフォーム保温版4号 | 0.043 | |
A種ポリエチレンフォーム保温版1種1号 | 0.042 | |
A種ポリエチレンフォーム保温版1種2号 | 0.042 | |
C λ=0.040~0.035 |
ウッドファイバー 40K | 0.038 |
住宅用グラスウール断熱材 24K相当 | 0.038 | |
住宅用グラスウール断熱材 32K相当 | 0.036 | |
高性能グラスウール断熱材 16K相当 | 0.038 | |
高性能グラスウール断熱材 24K相当 | 0.036 | |
高性能グラスウール断熱材 32K相当 | 0.035 | |
吹込用グラスウール断熱材 30K、35K相当 | 0.040 | |
住宅用ロックウール断熱材(マット) | 0.038 | |
ロックウール断熱材(フェルト) | 0.038 | |
ロックウール断熱材(ボード) | 0.036 | |
A種ビーズ法ポリスチレンフォーム保温版1号 | 0.036 | |
A種ビーズ法ポリスチレンフォーム保温版2号 | 0.037 | |
A種ビーズ法ポリスチレンフォーム保温版3号 | 0.040 | |
A種押出法ポリスチレンフォーム保温版1種 | 0.040 | |
建築物断熱用吹付け硬質ウレタンフォームA種3 | 0.040 | |
A種ポリエチレンフォーム保温版2種 | 0.038 | |
A種フェノールフォーム保温版2種1号 | 0.036 | |
A種フェノールフォーム保温板3種1号 | 0.035 | |
A種フェノールフォーム保温板3種2号 | 0.035 | |
吹込用セルローズファイバー25K | 0.040 | |
吹込用セルローズファイバー45K、55K | 0.040 | |
吹込用ロックウール断熱材 65K相当 | 0.039 | |
D λ=0.034~0.029 |
高性能グラスウール断熱材 40K相当 | 0.034 |
高性能グラスウール断熱材 48K相当 | 0.033 | |
A種ビーズ法ポリスチレンフォーム保温板特号 | 0.034 | |
A種押出法ポリスチレンフォーム保温板2種 | 0.034 | |
A種硬質ウレタンフォーム保温板1種 | 0.029 | |
建築物断熱用吹付け硬質ウレタンフォームA種1 | 0.032 | |
建築物断熱用吹付け硬質ウレタンフォームA種2 | 0.032 | |
A種ポリエチレンフォーム保温板3種 | 0.034 | |
A種フェノールフォーム保温板2種2号 | 0.034 | |
E λ=0.028~0.023 |
A種押出法ポリスチレンフォーム保温板3種 | 0.028 |
A種硬質ウレタンフォーム保温版2種1号 | 0.023 | |
A種硬質ウレタンフォーム保温版2種2号 | 0.024 | |
A種硬質ウレタンフォーム保温版2種3号 | 0.027 | |
A種硬質ウレタンフォーム保温版2種4号 | 0.028 | |
A種フェノールフォーム保温板2種3号 | 0.028 | |
F λ=0.022以下 |
A種フェノールフォーム保温板1種1号 | 0.022 |
A種フェノールフォーム保温板1種2号 | 0.022 |
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2010/06/18断熱材の基礎知識(Q&A)
2010/06/18
Q1:熱伝導率(λ値)とは?
A1:熱伝導率Wとは、材料の熱の伝わりやすさを表す値です。裏表に1℃の温度差がある場合に厚さ1mの材料の中を、面積1m2あたり、1秒間に伝わる熱量です。値が小さい程、熱の伝わりが少なく、断熱性能が高いということになります。代表的なλ値としては、ネオマフォーム0.020、空気0.024、発泡スチロール0.040、木材0.14、水0.58、鉄83.5です。[W/m·k]
Q2:熱抵抗値(R値)とは何ですか?
A2:熱抵抗値とは、材料の熱の伝わりにくさを表す値です。裏表に1℃の温度差がある場合、ある厚さの材料の中を、面積1m2あたり、1秒間に伝わる熱量の逆数です。値が大きい程、熱が伝わりにくく、断熱性能が高いということになります。1/(熱伝導率/材料厚さ)=材料の厚さ(m)/熱伝導率[W/m·k]=熱抵抗値で求められます。[m2·k/W]
Q3:熱貫流率(U値)とは何ですか?
A3:熱貫流率とは、室温と外気温に1℃の温度差がある場合に面積1m²あたり、1秒間に伝わる熱量です。壁などの建物の部位の熱の伝わりやすさを表した値です。値が小さい程、熱の伝わりが少なく、断熱性能が高いということになります。[W/m²·K]
平成21年4月1日に施行された改正省エネ法において、熱貫流率を表す記号が「K」から「U」に変更されました。これは、国際的に使用されている熱貫流率の記号「U」に変更したものであり、その意味や内容が変わったものではありません。
Q4:熱損失係数(Q値)とは何ですか?
A4:建物全体の断熱性能を示す指標。室温と外気温とに1℃の温度差がある場合、床面積1m²あたり1秒間に出入りする熱量です。すべての部位、換気の熱の出入りを計算し、合計した値を延べ床面積で割って求めます。値が小さい程、断熱性能は高いということになります。[W/km²]
Q5:次世代省エネルギー基準とは何ですか?
A5:「エネルギーの使用の合理化に関する法律」(いわゆる「省エネ法」)に基づき制定された「住宅に係るエネルギーの使用の合理化に関する建築主等及び特定建築物の所有者の判断の基準」および「同設計施工及び維持保全の指針」という告示のことで、住宅の省エネルギーに関する基準となります。
この基準は昭和55年に初めて制定され、平成4年、平成11年に断熱水準が改正されました。
この平成11年に改正された最も新しい基準が「次世代省エネルギー基準」と呼ばれています。この基準では、日本全国を市町村別に気候によってI~VIの地域に分けこの地域ごとに断熱や気密、日射遮蔽など住宅を建てる際に必要な性能を規定しています。
Q6:住宅性能表示の等級って何ですか?
A6:「住宅の性能表示」は「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」に基づく制度で、住宅の様々な性能について基準を設定し、わかりやすい方法で表示させるようにしたものです。温熱環境、構造の安定、火災時の安全性など新築住宅については10項目でそれぞれ基準が示されています。温熱環境(省エネルギー対策等級)においては、等級2、3、4がそれぞれ昭和55年、平成4年、平成11年省エネルギー基準にほぼ相当するレベルです。